昨日、CHET BAKERの 『LET’S GET LOST』 というアルバムをまた購入してしまった。

今から26年前 CDが世に出た当時、レコードのように磨り減る事のない非接触のCDは半永久的に聴き続けられるなんて話を聞いたことがあるが、 なぜかCDになってからも、愛聴盤ほど知らぬ間に傷がつき、お気に入りのトラックでピピッと音飛びが始まるものである。扱い方が悪いのか、聴き過ぎなのか、これまで何度と無く同じアルバムを買い直し、廃盤になっていれば中古で探して手に入れてきた。昔は「レコード盤が磨り減るまで聴き込んだ」なんてよく言ったものだが、CDになってからは「音飛びするまで聴きこんだ」という言い方になるのだろうか。

そして、そんな事も一昔の話になってしまうような、CDに代わるミュージック・コンテンツが出現してきたのだが、これはまた別の機会にご紹介するとして、そんな事で、二度目のCHET BAKER 『 LET’S GET LOST 』を入手した。

CHET BAKERは1950年代に全盛期を極めたウェストコーストのトランペット兼男性ヴォーカリスト。
若かりし頃は、そのハンサムなルックスからJAZZ界のジェームス・ディーンとまで言われ、多くの女性ファンを惹きつけて止まないアイドル的な側面を持つ一方、 ドラッグとアルコールで幾度と無くトラブルを起こし起こされ、壮絶な最期をとげた典型的な自己破滅型アーティスト。演奏(声質)は中性的で、独特の気だるい”ゆるさ”を持ち、聴く人によっては『気持ち良い』とか『気持ち悪い』とか、その評価も極端に分かれるアーティストである。
そんなCHET BAKERの最晩年のアルバム『 LET’S GET LOST 』は個人的に大好きなアルバムで、中でもトラック2の「 IMAGINATION 」。過去、多くのアーティストがカバーしてきた名曲であるが、個人的には 彼のカバーが自分の中ではベスト1。”ヘタウマ”と言われる、際どい音程で囁くようなヴォーカルと訥々と語りかけるような口数の少ないトランペットが何とも言えぬ哀愁と深い優しさで包み込んでくれる。

深酒したい夜に一人しみじみと聴きこんで欲しい一枚